事例-01:外資系ITメーカー M氏
性格傾向を知ることの大切さ
人の優れた性格特性やその傾向こそが、その人の内面的に持っている「才能」と言えます。
それは表面的に目に見える才能、例えば絵を描くのが上手だとか、歌が上手いとか、ピアノが弾けるといった技術的な才能ではなく、本質的な生きていく力というものがその人が持っている優れた特性と言えるでしょう。
時に我々は、優秀なビジネスマンの方へCOP分析を行なったときに、そのデータからその人の「才能」と言える性格傾向に出会うことがあります。
この方自身が、「敵を知らないままに戦いを始めることは愚かなことですが、それ以前に自分の能力や力を知らないままでいることの方がもっと危険なことだと思い、COP分析を受けさせていただきました」と言われていました。
そのM氏のCOPレーダーチャート表を見ていただければおわかりになると思いますが、停滞している組織では成長性、先見性型(タテ軸)方向に性格傾向が伸びている人が頭角を現し、組織を引っ張っていく人材へと成長していくことが多いと言えます。
また、本人自身がパーソナリティーの問題点と、眠っている優れた力を活用することで、飛躍的に仕事がうまく運びだすという好事例と言えるでしょう。
事例-02:建設会社 H
レーダーチャート表のエピソード
ある中堅住宅建設会社Hに、COP人財分析をメインにした人材育成研修を依頼されたことがあります。この会社は業績が伸び悩んだときに[依願退職制度]を儲けて、大幅に社員を削減し、会社を立て直したということを、その会社社長H氏からお聞きしました。
H社長は「うちに残った愛社精神のある全社員が一丸となって今後会社を発展させていきたいので、しっかりと社員一人一人が自分の性格傾向を知り、能力を向上してほしい」といった趣旨の人材分析育成の相談でした。
ほぼ全社員のCOP分析を実施したところ、[COPレーダーチャート表-ビジネスへの取り組み方]の分析データを見て、我々は驚きました。というのも、ほとんどの社員がCOPレーダーチャート表でのヨコ軸、対人性、組織性の方を向いたパーソナルティーの方ばかりだったからです。
過去からのデータ分析の経験値から言えば、会社社員のパーソナリティースタイルの分析は様々なビジネススタイルの方達がいて、その方達の平均値を出した法人としてのCOPレーダーチャート表のスタイルが、ピラミッドタイプかダイヤモンドタイプになっている方が、会社の成長している時も、不況の時も、対応できるということが我々の認識であり、ひとつの理想型と考えています。この建設会社Hの社員はどちらかと言えば組織依存型をしていて、対人対応に終始しがちな折衝を得意とするタイプが多くいました。
一方、会社の目標に向かって未来の変化に対応しつつ、粘り強く働き、会社に売り上げをもたらすタイプと言えるタテ軸の成長性、先見性型をしたパーソナリティーの方が見受けられませんでした。これは推測でしかありませんが、[依願退職]をされた方達の中に、COPレーダーチャート表でタテ軸の成長性、先見性型のパーソナリティーの方が多くいて、それらの方達がごっそり会社を辞められたのではないかと思った次第です。
一般的に安定的に売上が見込める会社や大きな企業体の子会社などは、COPレーダーチャート表で対人組織型をしたヨコ軸タイプの法人性格をしているものです。しかし、不況時や経営不振の会社の場合は、イケイケドンドンで天に向かって伸び上がるような成長性、先見性型をしたタテ軸タイプの法人性格の方が、苦しい時でも耐えて頑張っていくことができます。この建設会社Hは今後売り上げが減少し、大変厳しい状況へと推移していくだろうと私共では予測しましたが、私共の予想以上に速く、その時が来てしまいました。
事例-03:飲食チェーン店
検査項目CONについての未来予想
広島県で展開している飲食チェーン店から、社員の方々の人材分析を依頼されたことがあります。
なんでもその会社の2代目経営者は、「先代からの社員と新入社員の性格傾向を知っておきたい。特に食べ物を扱う会社ですから、会社にとって不利益になるようなことをする可能性のある社員や、客商売ですから、お客様を不愉快にしたり、精神面で問題がある社員がいるかどうかという点が特に心配ですから」という相談内容でした。
COP分析では、こういった心理的に動揺したり、的確な判断力があるかないかということをチェックする[CON]という項目があります。特にその時は注視して調査分析をしましたが、皆さん明るく、素直に仕事に取り組む性格傾向をされておりましたので、この会社社長は分析結果を見て、安心されたようです。
我々もこの会社のことは安心したのですが、それ以前に大手コンピュータソフトの開発部門の優秀なチーフプログラマーCさんのCOP分析を依頼されたことがありました。
このCさんの分析結果は[CON]の数値が芳しくなく、我々の判断としては「会社の大きな売上を上げているCさんは、精神的にもストレス傾向にあり、迷ったり、動揺している心理状態となっています。今は無理をさせないで、部門長のポストから外し、しばらく静養させてあげてはどうでしょう。
それから、心療内科で一定の検査を受けた方がよいと思います」といったような分析結果を提出しました。
その後どのような状況になったのか、私共の方には報告がありませんでしたが、1年後の話では、分析後もチーフプログラマーとして働き続けて、精神的に参ってしまい、その後は病院に入院して、今は時々病院から会社に出社しているということを聞きました。